お客様の声を知る方法は、ユーザーテストやアンケート調査さえすれば大丈夫・・
そう思っていらしたら、ご一読を✍️
実は、調査の類は「どんな調査方法でも」いいワケではなく、結果も「真実」ばかりとは限りません。
Webサイト評価やデザイン、自社商品の感想から企業サービスを本当の「お客様目線」に改善するヒントは、行動心理にあります。
ユーザビリティやユーザー調査の専門家ではないなりに、心理学的にも「お客様の声」は慎重な扱いがすごく重要です。
お客様アンケートの調査手法やデータの取り方、載せ方まで概要を解説。
(テストが「本格的」な調査でなければならない場合、有料のリサーチ専門サービスもありますね。)
なお、ユーザー調査以外の「気づき」もWeb運営経験などに左右されます。
*心理学専攻。

目次
お客様の声をSNSや企業ホームページに掲載すべき理由
お客様はひとつの商品を購入するまでに、いくつもの要素をじっくり検討します。
自己宣伝であるホームページの一般コンテンツだけでは、なかなか説得できません。
特にSNSの浸透後、「ユーザー生成コンテンツ(UGC)」の重要性も上がっています。
ユーザー生成コンテンツとは、お客様や見込み客が「自発的に」投稿した感想や体験談の総称。いわゆる、従来の「お客様の声」以外にも、自発的に書いたSNSや個人ブログ記事も含みます。
飲食店や娯楽施設、その他店舗などを決定する際に最も重要な項目を尋ねると(n=106)、「クチコミ」が26.4%、「メニュー」が22.6%となった。
店舗のネット情報で参考になる上位3つは「メニュー」「住所(ルート検索)」「営業時間・定休日」
以下に、UGCのメリットをあげてみました。
UGCを自社サイトに載せるメリット
- 不安解消
- 納得・信頼
- 購入意欲アップ
- 人気度チェック
- アイデア度・レア度チェック
- 企業側公式コンテンツに足りない画像や情報探し
- 自分の状況に相応しそうか・同じような人がいるか
- 「自分も購入し、SNSでシェアしてドヤりたい」と思えるか
こうして見ると、人の社会的心理・欲求と密接に連動してそうですよね。
お客様の声コンテンツのデメリットとリスク
異様に肯定的レビューだらけだと怪しく見えがちです。お客様はバカじゃありません、という。
「なんちゃらコンサル、ご満足の声多数!」は警戒するのに、いかにも良さげな商品へのガードが甘い人もいますが、「バレなきゃ良い」って問題でもないですよね。
不透明なポストコロナ時代のニーズ情報は、要チェック。
コロナ対策と社会不安の影響で、格差拡大や衛生観念の多様化と分断が進み、ニーズの見直しが迫られました。
そろそろ、過度の巣篭もり需要も圧倒的多数派ではなくなってきたようにも感じます。
また、従来のライフスタイル志向派ほど外出や経済参加に積極的な一方、一線を超えた越権行為を敬遠。
つまり、アプローチすべき客層次第で客足の回復にもなるのではないでしょうか。
一抜けの秘訣は、深いユーザー心理から自社ポジションを把握すること
メディア報道やネットニュースなど外部アンケートを「世間の需要」と捉えていると実態は違うことも。
目の前に来てくださるお客様の話こそ、本物のニーズと不満の宝庫ではないでしょうか?
うまく軌道に乗せられていない企業様ほど、サービスのポジションと改良可能性を知って、ブレないブランドを目指すのはおすすめです。
「お客様の声」や商品レビューには、ウソが潜む。
ホンモノのお客様像を知るため、ユーザーの声を集めるのはお勧めのアイデアです。
ただ、調査やご要望にはある種の【ウソ(心理学で言うバイアス)】が隠されています。
私も「常に視野が広く、公正な聖人」とは言えませんが、この視点を心に留めるだけでも、大きな迷走は防げるのではないでしょうか。
でも、本物のお客様の声は、サービス向上には貴重。
関係者間のご判断なども考慮すると、とてもデリケートな課題ですがやはり、相当にターゲット層(ペルソナ)を理解しないとわからない部分もあるのは事実。
必要に応じてお客様の声を聞き、得た情報からうまく「本心」を探る必要があります。
満足したユーザーの声は、取りに行かなきゃわかりにくい?

良い口コミが、なかなか集まらない…

当然な気がします。。
お客様が自然に意見言ってくれる状況を待つのも、素晴らしい取り組みです。
ただ、待ちすぎは厳禁。
自分で、お気に入りの飲食店やホームページに「わざわざ」満足報告なさった記憶はどれほどありますか?
「普通に満足なら、何もしないなぁ。よっぽどの不満やトラブルが起きれば。」ってところでは?
満足ユーザーは「黙って満足してる」ためレビューを呼びかけるのは大事
— アプリマーケティング研究所 (@appmarkelabo) October 16, 2020
何も言わないと「不満を言いたい人」ばかりが低評価を書きにきてしまう
満足者にもちゃんと呼びかけないと、全体のレビュー平均が下がりやすい
ハイパーカジュアルゲームアプリ「Park Master」の事例https://t.co/nLo1ml9Md4 pic.twitter.com/LgiC2Tu54T
「つい書いてしまう」本物レビューの集め方
お客様の声をポイントで釣って集める施策は有名ですよね。
ただ、あえて「顧客満足度」に振り切って自然な口コミを集められた事例が紹介されています。
顧客アンケート調査やインタビュー方法が不適当だった
自社のお客様がいないツールだったので、人数や信頼性不足
12/17追記
ペルソナがインスタ女子寄りなのにTwitterで聞く、など調査方法がずれると結果も違うでしょう。
ただ、TwitterアンケートはSNS系ではもっとも手軽なので、カジュアル調査なら一つの手かも。
有効回答数を上げるには、TwitterならTwitter、インスタならインスタ、Webフォーム系ならSNSかSEO対策、など事前に日頃からデータを取りたい客層に認知され、アンケート参加してもらえる程度には好意的な発信や交流が前提です。
「今すぐアカウント育てられない…」会社は仕方ない面もございますが、回答が偏るリスクも。
無料から使えるアンケートツール
Googleフォーム | 定番の無料アンケートフォーム。グーグルフォームなら、収集したデータが表(スプレッドシート)として自動生成されます。 |
---|---|
Twitterアンケート | 4択までの制限付き。
RT(リツイート)・いいね!でアンケート自体が拡散されやすいメリットも。また、匿名性が保たれるので、本格アンケートより抵抗なく回答できる。実施期間が短すぎると回答数が集まりにくい。 |
インスタストーリーズ内アンケート | Yes/No式から選択式までアンケート形式が広いのがメリット。
回答結果画面で誰がどの回答に投票したかや、閲覧者までわかる。ストーリー制作・データ管理の手間や、アンケート者に身バレしたくない人が投票しないデメリットが。 |
Square メッセージ | 使用感不明ですが、無料?で電子レシートにアンケートを載せられる模様。実店舗系でちょっと覚えておきたい感じですね。 |
お客様像と被験者のタイプが違った…
いくらターゲット層と同世代・同性でテストしても、お客様像とはズレていたら「万全」な結果とは言いにくいもの。
ペルソナ像(お客様像)をしっかり定めていても、手近にそんな「ぴったりの人物」がいなさそうで・・・なんてこともあり得ますが。。
身近な人だったなら、「商品に詳しすぎる」ことも回答に影響してしまうかもしれません。
不自然なユーザー行動の指示
Webサイトを見る際、実験でもなければ自由に見て回りますよね。
検索エンジンで探してみるかもしれないし、SNSをチェックするかも。
検証したいサイトはさらっと見てスルーされるかも(汗)…。
思っていた見られ方ではないかも。
- 「このサイトを見て、どうですか?」
- 「分かりにくいところ、使いにくいところは?」
- 「ここ、気になりませんか?」
と誘導しすぎてしまうと、ナチュラルな経緯とは違った感想になりやすくなってしまいます。
参考
利用者の声インタビューのコツは、なるべく誘導しない。
(私自身含め…)いきなり利用者にインタビューするのでなく、じっくりリサーチや準備を済ませておきましょう。
聞き漏れ・テストもれのないよう、参考ノウハウをもとに知りたい質問項目や面談イメージをつけ、少しでも建設的な時間になれば理想ですよね(汗)
初めてでもできる! 顧客の声を引き出すインタビュー術
- 誰に話を聞くのが最も適しているか决める
- インタビューワーとして最も適している人物を決める
- 調査
- 質問項目を用意:オープンエンド&深堀りし
- 答えを想定する
上記の記事ではインタビュー前のTipsのほか。面談中・後の対応まで解説いただいています。
アンケートとインタビュー調査のコツ
以下記事によると、「インタビュー調査は深掘り」。ユーザーの本音を知る聞き方のコツが紹介されています。(*後半は有料記事)
【記事更新】小さな会社でもできる、インタビュー調査のコツを、デライト・ベンチャーズのマーケターに聞きました✍️
— アプリマーケティング研究所 (@appmarkelabo) November 29, 2021
理由の理由には「客の本音」が隠れている。「はじめる理由」と「つづける理由」は違う。インタビュー調査で結果を出すコツを、歴戦のマーケターに聞くhttps://t.co/D5ZVno6opL pic.twitter.com/GwcrB3awyM
ユーザーテストや顧客アンケートで、必ずしも真の意見を語れない?
仮に「それなりに妥当な」アンケートやテストを行っても、人はやはり【本当の意見】を余すところなく発言できません。
- よく見られたい(賢い/善良なetc…)
- うるさい人だと思われたくない💦
- あえて言うほどじゃないかも
- 気になっても言語化できない…
- 聞かれたので、もっともらしい意見はいったけど実は…
など、様々な事情で(つきたい訳ではないものの)嘘の意見を伝えてしまう時が。
本当に欲しい商品は、ユーザー行動の中に。【隠れた要望を発見せよ】
下記の事例も、決して人は【普通のモノ】が結局は欲しいんだ、という短絡的なものではありません。
例えば「高級な食パンが欲しいか」聞かれ、「普通でいい」と答えても、実際に素敵な商品が開発されると買ってしまった・・・という購買行動は日々起こっています。
食器メーカーのグループインタビューの事例
ある食器メーカーが「次に買うとしたらどんなお皿がいいか」と主婦にグループインタビューしたところ「これまでとは違う、オシャレでカッコイイ黒い四角いお皿」という意見でまとまった。
ところがその協力のお礼に、食器サンプルの中から好きなモノを1つだけ持って帰って良いことに。
書籍:ユーザ中心ウェブサイト戦略より(下記リンク先)
・・・全員が選んだのは、(現実的な判断から)「白い丸い皿」だった。
「ユーザーの意見だけじゃ最高の商品はできない。」
いつも「“前提をぶっ壊す”ことだけを前提として考える」ことです。
「商品よりもDELLという企業自体のブランディングが必要なんじゃないか?」
ユーザーの意見だけじゃ最高の商品はできない。GO三浦崇宏が驚いたDELL「XPS」の熱意
「ターゲットは意識が高いビジネスパーソンでいいのか?
ハイスペックなPCで楽をしたい人がほかにもいるんじゃないのか?」
とか。
質問した人との関係性、回答メリット
有名で信頼できるブランドの調査や(謝礼など)回答すると明らかなメリットがある調査では、より意欲的に回答してしまいます。
また、知人や利害関係などのある微妙な関係性では、遠慮や望ましい行動を想像しながら答えてしまう可能性も。
特性/生育歴が影響するケース
過去の経験
一定の年齢になると、過去の成功・失敗体験やステレオタイプなどが回答を歪めてしまうときもあります。
記憶の歪みや限界
正確で客観的に記憶するのって、意外と難しいもの。
人は、都合のいいように記憶をゆがめる傾向があります。
時には、あやふやな記憶や自分の願望に合わせた答えになっているかもしれませんね。
表現したい、という思い
意見を聞かれたら、「何か」は言っておきたい気がしたり、使命感を感じてしまうことも。
「本当はないんだけど、あたかもあるように」なったお客様の声が一人歩きします。
「お客様の声」以外のデータや傾向も大切
「お客様の声」は貴重なヒント…とは言え、「良く浸透したデザインや文章などのセオリー」もまた、無視できません。
例えば、リンク先がPDFだらけ、とか、似たような役目のボタンが何個も並んでいる事態は、(できれば)調査せずとも避けるべき仕様です。
「誰か」が魔女…ではない
いくら「お客様の声」の扱いが難しいからって、その回答をしてしまう方や、アンケート実施者、分析する方など特定のどなたかが悪いだとか、そういった考えはしないほうが賢明。
あくまで「人のクセ」として、防げそうな悪評を塞ぐしかできないでしょう。
レビューコンテンツに必要な内容と書き方
では、効果的にお客様レビューを載せるには、具体的にどういう情報を集めればいいか?見せるべき、必要なコンテンツは何でしょうか?
氏名かペンネーム、年代、性別、地域 | プロフィールを想像しやすくする。 |
お客様写真 | 実在の人物感。ムリorデザイン上不自然ならアイコンなどでも。 |
アンケート用紙写真 | 生感。必須ではない。 |
使用感・味・サービス | 必要 |
気になる点 | 自社の参考にもなる |
着画・作ってみた写真 | なくてもいいが、投稿してくれると嬉しいパターン。 |
インタビュー | 導入事例などBtoBに多い。 取材を入れることでユーザー投稿型コンテンツにできない見せ方コントロールが可能に。 レビューよりはるかに長文記事になり、濃い読後感も与えられる。 |
こうしてみると、安心系か「自分に相応しそう」「望んだ未来がありそう」など自己実現系の言及が充実した書き方をしてもらえると、すごくありがたいレビューになりそうですね。
お客様の声テンプレート/デザインの見せ方と例文
実際の「お客様の声」デザインの載せ方例をテンプレートで体系的に分類してみました。与えたい印象に合わせ、見せ方を使い分けられると理想ですね。
調査グラフ型
個人を全面に出さず、データをグラフィカルに見せると、「効果」「科学的根拠」「メジャー感」を訴求できます。
ロジカルな判断に訴えられるほか、「みんなが選んだ」とのトレンド性をくすぐるのにも最適。
例文
お客様アンケート結果:
2021年1月に実施した、ABショップお客様アンケートの結果、「レッスン技術の満足度」がなんと97%。
一方「プランの選択肢」では66%となり、料金やカリキュラムプランの柔軟性を求める声も一部あると判明しました。
ご協力ありがとうございました。いただいた情報を参考に、サービス向上できれば幸いです。
定番アンケート型
先述の調査項目をキレイにデザインして掲載する、超基本の見せ方。
ピックアップするお客様や多少の表現コントロールができる場合、企業側の狙った表示が叶う。
成功事例・インタビュー型
リフォームやコンサル、システム導入事例、スポーツなど、ボリュームあるコンテンツの見せ方。
高額品や目に見えないサービスで、特に重宝されます。
表情の良い顔写真か全身写真かは、想起しやすいよう業態によって変えると良いかと。
Before→Afterは住居・美容・ヘルスケア系で鉄板。
顧客インタビュー質問項目の例文
- 選んだ理由
- 課題・要望
- 満足ポイント
- 導入後の変化
- サービスはどうでしたか
お客様記入式 商品レビュー型
ネットショップなどのレビュー機能に、お客様に自由に書き込んでもらう、低コストでわかりやすい載せ方。
基本的に内容・見せる投稿者をコントロールできない。逆に、生の声として信頼性が高まります。
商品レビューの例文
ユーザーネーム等・年代・性別・リピート有無・購入サイズや色
満足度ステータス
投稿タイトル
詳しい本文・・・・
UGC型(SNS・個人コンテンツ投稿)
お客様が自分のSNSアカウントで自社商品の感想や使用例を投稿するパターン。
特徴やメリットはレビュー型に似ているが、「ユーザーの個人アカウントからの投稿」という点でさらに参考にしてもらえる可能性がある。
「レビューでプレゼント」など企業が投稿メリットをつけた場合、特典目当てのアカウントが増える場合も。
UGCのホームページでの効果的な取り入れ方例
ツイートやインスタ投稿を埋め込み表示するレイアウトが基本。自社指定ハッシュタグのみひらって表示すると、一度に複数のユーザーコンテンツがホームページ掲載できる。
■ ユーザー調査で本当のお客様の声を知る方法 まとめ
気をつけてアンケート調査やユーザーテストしても、「お客様の声」にある程度はウソが潜んでいます。
ですが、まずは知っておくと「データを取ったつもり」になりづらいのでは。
お客様目線に立ったデザインやレイアウト、キャッチコピーやライティングができるほど、Webサイトの価値は高まります。
運用時も改善できるのが、Webサイトならではのメリット。
大工事はできずとも、「お客様の声」を活用すると、改善点が見つかるかもしれませんね。
私も、できるところからお客様目線とご要望を取り入れていければ幸いです。